【ほんだのばいく】「脱力系天使Youtuber」本田翼【きみは天然色】
YouTubeって不思議な場所だなと思う。芸能人だからということで、かならず動画がバズるわけではないし、逆に老舗Youtuberだからといってかならず再生数が大きくなるとは限らない。
芸能人の本格的なYouTube進出の旗手は、おそらくカジサックだったと思う。それまで、芸能人が「片手間」あるいは「趣味」的にやっている、あるいはYouTuberを下にみているのではないかという風潮があったなかで、これまでのYouTuberの慣習に従いYouTubeを「学ぶ」をコンセプトにし、毎日投稿やコメント欄のチェックなどとにかく地道な努力で風潮を変えた。
一連の流れの中で、すい星のごとく登場し、カジサックとはある意味で真逆の方向性にありながら、新機軸となり好評をはくしたのが本田翼のチャンネル「ほんだのばいく」であった。月9の主演も務めた女優で（女の私でもコロッと言ってしまいそうなさわやかで愛らしい）かわいらしさを持っているのにもかかわらず、あえて「顔が映ることの必然性の低い」ゲーム実況を選んだという意外性と、ゲーム実況に多少聞きなれていても飽きない実況能力、ゲームが好きなんだなぁと思わせるゲーム選択には、「無理をしてない感じ」があり、圧倒的な好感度をもたらした。その結果、一か月で登録者100万人を突破した。
現在（2020年４月時点）で、180万人を超えた同チャンネルだが、2018年9月から現在に至るまで、本人が『絶対零度』や『ゴチ』でレギュラーを務めていて多忙なことも関係しているだろうが、アップされた動画の総数は8本である。ただ、逆に言えば、今からでも一気見をすることができ「癒し」をもらえるチャンスのあるチャンネルとなっている。
なんせ、一本一本の「癒し」クォリティが激高なのである。この「癒し」の効果は、彼女のごく「天然色」な魅力にかかわっている。たとえば、「24万8千2百円を払う日の朝」という動画。レトロゲームのような軽快な音楽にのせて、テンポよく「朝の準備」をしていく翼さん。最初はおそらくすっぴんなのだろうが、その時点でかわいすぎる。化粧品や服飾品は、ゆるかわいい字幕によって紹介され、彼女の動きに合わせて効果音が入る。あっという間に過ぎていく動画時間のなかで彼女はしゃべらない。最後だけ、「『ゴチ』の収録行っていまーす」という言葉が入る。持った財布が画面に近づきブラックアウトすると、心臓音的な音がはいり、24万8千2百円の領収書が映る。「まけました。」というゆるフォントでの報告で動画は終わる。
この動画は、本田翼流の「モーニングルーティン」動画なのだろう。しかし、テンポの長といい、構成といい、オチの小気味よさ（可愛すぎる本田翼から『ゴチ』というビッグワードのカッコよさ→「まけました。」という流れ）といい、非常にユーモラスだ。動画を見る側に楽しんでもらいたいというサービス精神が垣間見え、そこに天然色で飾らない彼女の魅力が溢れている。
また、この動画でも気張っている感じがないので、彼女にとって芸能活動が（逆に言えば、芸能人の彼女が）生活の中の「日常」に存在していることを意識させる。そういえば、『絶対零度』の撮影中にとったという「ダラダラ実況～the white door①～」では、廃工場で撮影した後のために鼻声だということを話し、マネージャーさんによばれるまでゆるかわの実況が続けられた。ここでも、ドラマとYouTubeの間が「平坦」で日常を感じさせ、あのカッコイイアクションシーンの裏側もさらっと普通のことのようにはなしている彼女の飾らなさが浮上する。やっぱり、本田翼は、天然色の天使なんじゃないかとおもってしまう。
ちなみに、私的なイチオシ動画「服日和①」は、現役バリバリのモデルでもある彼女が服を選んでいる動画だ。しかしながら、上から目線で解説するということもなく、服を選びながら画面の前を横断しつつ、ファッションの私論をのべていく。朝のポヤポヤ翼さんは破壊力抜群だ。髪を結んだあと、「髪を結んだよ！髪は結んでいる方が好き」とカメラ目線でいうシーンは、彼女のまだラフな格好も相まって男性陣ならばおそらく彼氏目線になれて歓喜！なのではなかろうか。鏡を見ながら迷いながら服を決めていく姿は、女性陣からするとなんだか親近感もある。でも、最後はかっこよく決まっている恐るべし天然色天使。
おそらく、本田翼による「ほんだのばいく」は超不定期更新とジャンルのゆるい横断、飾らなくてもかわいすぎる魅力がすべて相まって、おそらく日本のYouTubeでは唯一無二である「脱力系天使Youtube」チャンネルなのではないか。みると、彼女のことが大好きになってしまう上、めっちゃ「癒される」このチャンネル。もし、見たことのない人がいれば見てみてはいかがだろうか。
