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院生による本格分析(をめざす)ブログ。ねこちゃんにも寅くんにもなれるような柔軟な姿勢。

【東海オンエア・リーダー】「てつや」、YouTube界の“ピクトグラム”【前編】

 

 「やあ、東海オンエアの」ではじまるあいさつ。「東海オンエア」の動画の幕開けなのですが、このあいさつは(罰=「十字架」の関係がない限り)順番が決まっているというのは、ご存知でしょうか。てつや、しばゆー、りょう、としみつ、ゆめまる、虫眼鏡という順番になっているんですよね。「東海オンエア」という濃ゆいメンバーのなかでも、あいさつでトップを飾るてつやさんは、このグループのリーダーであり、初期から出演率と編集率の高いメンバーです。そんな彼の動画内での存在感や「ふるまい」は、“ユーチューバーとはこのようである”というような「ピクトグラム」的だと思い本稿を思いつきました。

 それでは、「東海オンエア」個人魅力分析論、第一弾として、てつやさんについて書いていきたいと思います。

 

 

 【【※以下、ネタバレ・にわか注意でございます※】】

 

 

 

 

0.「東海オンエア」とは…

 愛知県岡崎市を拠点に活動する6人組のユーチューバー。チャンネルの開設は2013年。現在は登録者が518万人、総再生数は57億回を超え、登録者でいえば、国内第7位(yutura参照)とである。さらに、サブチャンネル「東海オンエアの控え室」でも登録者が200万人を超えるなどその人気は計り知れない。また、全員が個人のチャンネルをもっており、その個人チャンネルもすべて10万人を超えている。

 メンバーの結婚や事務所の移動などを経ても、動画の拠点は岡崎市であり、「岡崎観光伝道師」に任命されている。動画は、実写系で「笑い」に寄っていて体を張った厳しい企画と縛りの強い罰ゲーム(通称:十字架)でおなじみである。登録者500万人を超えた今でも、基本的に週6(月曜日以外)で投稿を行っている。

 

 

0-1.東海オンエアのリーダー「てつや」とは…

 いわずとしれた東海オンエアのリーダー。メンバーカラーはオレンジ。生年月日、本名、出身高校・大学がほぼ公開状態になっているというおそろしい男でもある。主に、高校時代の同期だった現在のメンバーに声をかけ、「東海オンエア」を結成し、2013年より中心メンバーとして多くの動画に出演している。最近、専用スタジオができるまで彼の家(最初期は実家)=スタジオという状態であった。個人チャンネルの名前は、「動画アップロードチャンネル」*1であり、74万人の登録者を誇る。

 初期は、高身長・整った顔という見た目から「NEWSの小山慶一郎似」などと形容されることもあったが、厳しくて過激な動画企画やユーチューバー特有の忙しいスケジュール(と、おそらく彼のずぼらな性格)が影響して、そうとう見た目が変化している。特に髪型の変化ははげしく、坊主や前髪なし、おなじみのオレンジヘアなど変遷を追うのは難しいほどだ。服装もイメージカラーを意識してかオレンジが圧倒的に多い。そのために、「【5年前をもう一度】てつやガチンコイケメン化!!!」という動画まで出されている。

 しゅっとした見た目と裏腹に、音痴でしられ、それが企画の関係になっていることもあった。また、「新競技「1500m牛丼」で世界新記録達成!!」という動画がきっかけで、ストーカー行為を受けるという被害を受けたこともある。

 

 

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生活と撮影の密着度~すべてをYouTubeにささげろ!

撮影場所と生活空間

 東海オンエアの動画は、てつやの実家の彼の部屋からはじまった。近所の公園とかではなく、だ(そのため、途中てつやの“はは”が乱入するトラブルもある)。企画は「鼻からミルクティーを一気飲み」という題材。もちろん、はじめの動画だからということもあるが、撮影場所と生活空間が重なり合い、題材も日常と密着した形ではじまった。2013年10月15日のことであった。初期中の初期は、てつや単独の動画も多かったので、実家や実家の前といった生活空間=撮影場所という光景はよく見られた

 

 

 そして、人気ユーチューバーとなった「東海オンエア」リーダー、てつやとなっても撮影場所と生活空間の距離感覚は以前「近い」ままだ。例えば、毎年のように実家は登場する。

 

 三年前。2017年4月に投稿された「【検証】帰ってきた息子が外国人になってたら母はどうする!?」*2では、実家に出会ったばかりの気のいい外国人を自分のふりをしてくれといって派遣。実家はふつうに映っているし、母は顔こそ映っていないが声などで出演(突然、てつやだと名乗る外国人に驚きつつ、何かを察した神対応だった)し、弟にいたっては普通に出演している。

 

 二年前。2018年2月に投稿されたのは、「網がバサってなる罠を作ってとしみつを捕まえてみた」*3では、初期によく見られた実家の車庫から飛び降りるというシーンがある(なお、虫眼鏡はこの動画で骨折している)。

 

 一年前。2018年11月。「【ナメてた】3日間1日100歩生活!前編」*4では、100歩しかないなか、たどり着いたのは、実家の玄関。ここでは、てつやの父が声で出演し、母はてつやのために彼の好物を作り、玄関まで運んでいる。

 

 

現在、2020年。7年たっても、かれは頑として拠点を「岡崎市」から移していない。「岡崎観光伝道師」としての肩書もある。東海オンエアの動画のスタイルは、東京と合っていないとも発言している。

 

 また、定期的に行われている「46道府県 旅行の旅」でも東京都が唯一入っていない。この、エンタメの中心地(=物理的には東京)との距離感が、進化しつつもどこか変わらない「東海オンエア」とてつやの「強み」ではないかと思うが、これは後述することにしよう。

 

 また、ここでこのような意見もあるだろう。前まではてつやの家=東海オンエアのスタジオだったが、現在の東海オンエアは撮影用のスタジオをもっていて、撮影場所と生活空間は「遠ざかった」のではないか?と。たしかに、以前ほど自宅は映らなくなったかもしれないが、個人チャンネルで「【新居公開】最新家電盛りだくさん!てつや家ルームツアー!!(前編)」*5において(かつてストーカー行為にあったにもかかわらず)前後編わけて懇切丁寧に、ルームツアーを行っており、今年の2月にあがった「【野菜】このモーニングルーティン、何かがおかしい...!!」*6でもがっつり自宅が映っている。その点では、あまり変わっていないのではなかろか。

 

 

 

私生活と病気も「ネタ」にせよ

 てつやといえば、私生活も臆せずYouTubeという媒体にのせている。彼の人生≒(ニアリーイコール)YouTube自己をすり減らす動画は「東海オンエア」のエンタメの一つだが、その色をはじめにつけたのも、てつやだろう。

 

 私生活は、サブチャンネルでも情報過多なほど語られているが、過去(動画初投稿から一年後の2014年)にはワタナベマホトのチャンネルで、片思いの子に告白するという動画をあげている*7。また、2016年には出会い系を利用していることまでも、メンバーの告発により動画で開示されている*8。90年代ごろの深夜番組のようでもあり、えぐい。

 

 また、動画でよく出てくるジャージの胸には「小〇津」というかれの本名が思い切り書かれている。YouTubeにはてつやの個人情報が(もちろんすべてではないが)横溢している。その結晶のような動画が、2018年に公開された「てつやの「いぼ痔治療記」」シリーズだ。病院の協力を受け、診察から入院、手術まで一部始終が公開されている。痔自体、怖いと思いながらも「恥」から、なかなか病院に行けない(特に若い)人への啓もう動画という側面もある。ただ、それだけない。病気というセンシティブな内容ながらみたら笑ってしまうような内容になっているのだ。

 

 私生活や自らの病気も、動画において視覚化し「エンタメ」へ昇華する。これは、非常に勇気のいる行為でなかなかできるものではない。非常に単純な言い方になってしまうが、「恥の文化」*9を持つという日本において、余計にハードルの高い行為である。だからこそ、てつやのエンタメは「独特」で「おもしろい」のだろう。

 

 また、この傾向は、苦手なものを笑いに昇華させていく姿勢にも表れている。音痴で知られる彼は「西野カナの歌詞って素人が考えても区別つかないんじゃね?」*10などで、無加工の音痴をちゅうちょなく披露し、動画のおおきなスパイスとなっている。

 

 

 

「十字架」の遂行能力~「ガチ」こそYouTube

 東海オンエアの罰ゲームには、「十字架」というものが存在する。「ドMにキツい罰ゲームをプレゼント!!第一回【十字架プレゼン】」*11という動画によると、「十字架」とは以下の通りである。

 

「二週間サングラス生活」や「1ヵ月語尾変更」などの背負い続ける系罰ゲームのことである。

 

 この「十字架」は重く、よほど仕事などに迷惑をかけない限り、動画外での私生活でも遂行しなければならず、かつて、メンバーのとしみつが「ヘアゴム8個の2週間の刑」*12を受けたときには、直前のゲームにおける虫眼鏡にキレ、十字架が過酷だったこともありやらないと動画内で発言したり(実際には遂行された)、メンバーのりょうがカジサックとコラボした際*13には、語尾に「~ズノック」をつける罰ゲーム中で、裏の連絡においても「よろしくお願いしますズノック」と動画外でも罰ゲームが貫かれていることが明らかになったりしている。

 

 

 特に、てつやはリーダーとしてなのか旗手として、むしろ非常にこだわりを持って(もはや変態的ともいえるかもしれないほど)十字架を遂行する傾向にあり、件の「ドMにキツい罰ゲームをプレゼント!!」で決まった十字架(=1ヵ月シルバーカー生活)の最中に行われた同じ事務所所属のアバンティーズ・エイジのお別れ会にシルバーカーをひいて現れたことによって賛否両論を巻き起こすこととなった。また、『ダウンタウンDX』に出演した際には、大胆にもダウンタウンに「十字架」の案を考えてほしいと依頼している。

 

 

 「2週間サングラス生活」の罰ゲームの際には関西コレクション出演と時期が被っていたため、そのイベントの際にサングラスを外す代わりに、期間を2週間延長すると公言し、実行した*14。常識を疑われたり、致し方のないことがあったり、すでに人気者のYouTuberになっても、「ガチ」で重たい罰ゲームを遂行し続けるという、(テレビではタレントなどの関係上できない)YouTubeならではの生活と密着した「十字架」を背負うのだ。

 

 以上のように、てつやはYouTubeの動画内と動画外の境界線があいまいになるほどに、生活とYouTube(動画、撮影、編集)が密着している。すなわち、てつやの生活≒(ニアリーイコール)YouTubeであり、それはまさに世間のイメージする「YouTuber」のパブリックイメージを徹底して体現しているといえるのではなだろうか。

 

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 次回…後編は、てつやによる大人/子供という二分法への挑戦、そして、てつや=❝YouTube界のピクトグラム❞説に続く。

 

caaatteey-0815.hatenablog.com

 

 

Coming Out of THE WORLD.

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  • 発売日: 2018/07/20
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

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