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無色のマリーゴールドーーあいみょん「マリーゴールド」の効果について【後半】

 この記事は、後半です。前半を踏まえてみるとより面白いと思われます!

 よかったらみてください!

 

caaatteey-0815.hatenablog.com

 

 この曲の公式動画はこちら↓


あいみょん - マリーゴールド【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

 

 

マリーゴールド」とひまわり

 この曲の最大の「効果」を生み出しているのは「マリーゴールド」だ、と思う。実際に「マリーゴールド」が出てくる時の歌詞を見てみよう。

 

麦わらの帽子の君が

揺れたマリーゴールドに似てる

あれは空がまだ青い夏のこと

懐かしいと笑えたあの日の恋

 

 「マリーゴールド」が出てくるのはこのサビの部分のみであり、繰り返しをふくめれば、わずか2回の登場となる。「麦わら帽子」の形容として「マリーゴールド」が登場し、それがもちろん「夏」を背景として登場していることがわかる。夏、麦わら帽子とくれば親和性が高そうなのは“ひまわり”だ。マリーゴールドという植物の開花時期は4月から12月と長く、夏に限定される花ではないからだ。麦わら帽子の形もどこかひまわりに似ている。

 

 また、日本一多い曲のタイトル花は、さくらではなく、ひまわりだそうだ。『水曜日のダウンタウン』において明らかにされていた。コンサバな選択をすれば、“ひまわり”が登場しただろう。しかしながら、マリーゴールドであることはさまざまな「効果」をもたらした。

 

 まずは、「日常性」だ。マリーゴールドは比較的育てやすい。庭や鉢植えなどで多くみられる花である。ほとんどの場合、そんなに高価でもない。マリーゴールドの「素朴」さは、「君」にごく普通のでもかわいらしく小ぶりなイメージをつけることができた。日常の中にわすれそうなかわいらしい実存的な存在感をぼんやりと描くことができる花なのだ。

 

 

マリーゴールドの両義性

  マリーゴルードは、すでにこの曲をめぐって話題になっていたように「絶望」という花言葉がある。実はプラスの意味/マイナスの意味の両方が存在している。

 

  ・プラスの意味:「勇者」 「可憐な愛情」

  ・マイナスの意味:「嫉妬」「絶望」「悲嘆」

 

 いい意味はさきほどの素朴なマリーゴールドと親和性が高く、とくに「可憐」というのはイメージに合致している。しかし、悪い意味はその正反対の怖さを持っている。隠し絵やトリックアートに悪魔が隠されているような怖さがある。

 

 それだけではない。マリーゴールドには、虫を「除ける」効果がある。人間にとってそれは害虫を除けてくれるというありがたい側面もあるだろう。しかし、可憐な見た目に反し何かを排除する効果があるというのはやはりギャップのある事実といえるだろう。

 

 このような両義性は、見る角度やその人の経験などによってその意味合いを変える「効果」を表す。いかようにも描ける無色のマリーゴルドを歌の中に存在させることができるのだ。

 

 

無色のマリーゴールド

  さて、「マリーゴールド」という曲において「マリーゴールド」は、「麦わら帽子」と結びつけられていた。そのため、色もあいまいなのだ。「マリーゴールド」でよくイメージされる色はオレンジや黄色だが、どちらも空の下の「麦わら帽子」に当たらずも遠からずの色だ。

 

 光がつよければ、空の光が強ければ黄色っぽく、すこし弱ければオレンジっぽく。それは聞く側の描くものによって変わる。そう無色のマリーゴールドだ。マリーゴールドのイメージ自体も塗り絵のように枠=かたちだけがぼんやりあるだけなのだ。すべては写真的ではなく絵画的なイメージで統一されている。だから、さまざま解釈をさせてくれ、「共感」をさせてくれる。この曲は多様で細分化された我々の感覚を独特のあたたかさでつつむ包容力を、その「効果」で生み出している。

 

 

 

 

……

 

 ネタがたまってきていて書きたいのですが、なんだかタスクが多く書けなくて、つらいです…。そう言っている間にも頭から抜けてしまいそうです。メモしなきゃ。